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ロッシーニ オペラ「Armida(アルミーダ)」

Metのオペラシーズンも今週末で終わり。

来シーズンがはじまる9月末までオペラはしばらくお休みになる。

火曜日に今シーズン最後のオペラを観に行った。演目はロッシーニの「Armida(アルミーダ)」。

Armida 3

このオペラは、今シーズンMetが力を入れていたオペラで、1817年に作曲されたオペラだが、なんとMet初演。主演はルネ・フレミング。なのでとても期待感を持っていた。

<ストーリー>
舞台は第一回十字軍のエルサレム。ダマスカスの女王で魔女のアルミーダは、十字軍の勇士リナルドに恋している。
リナルドを自分の手元に置くために工作をし、思惑が成功し、リナルドが勇士の長の後継者に選ばれる。しかし自分が選ばれなかったことを妬むジェルナンドと決闘になる、リナルドはジェルナンドを殺してしまう。

二人は森に逃走する。アルミーダは魔法で辺りを美しい快楽の宮殿に変え、妖精たちにバレエを踊るように命じ、リナルドは愛に溺れる。

十字軍のカルロとウバルドがリナルドを救いに現れる。リナルドは現実に目覚め、彼らの勧めにしたがい森を出て戦場に戻る決心をする。リナルドがいなくなったことに気付いたアルミーダは彼を追いかける。彼に追いついたアルミーダは、行かないでくれと懇願する。心を動かされそうになるが、リナルドは騎士である自分は戦場に行かなければならないと彼女に言う。リナルドを失ったアルミーダは怒り、本性を現し、復讐を誓い、快楽の宮殿を焼き尽くす。


何故このオペラが滅多に上演されないのか。

とても難しいのだ。

まずソプラノ。ルネ・フレミングがよくもこの役を演じることを決心したな、と思う。彼女が歌ってくれたから私たちもこのオペラと出会えたわけだ。とにかく歌が難しい。すごい技巧がいる歌ばかり。このオペラでは、女性はソプラノ一人きり。なので彼女はほとんど出ずっぱり。ずっとコロコロと変わる難しい曲を歌わなければならない。さらにこの役は、とても感情的な役なので、表現力、演技力も要求される。

さらにテノール。このオペラ、ロッシーニが歌えるテノールが6人も必要なのだ。どの役も難しい曲がついてくる。だからそれなりのレベルの人でないと歌えない。そんな6人を集められるのがMetだからこそこのオペラの上演が可能になったのだろう。また、テノールの三重唱もあった。(なんという贅沢!)

難しいのは歌手だけではなかった。オーケストラも大変で、ソロ楽器が沢山でてくる。だからオーケストラの各人のレベルの高くなければ大変なことになる。

さて、このオペラ、2幕目にバレエのシーンがあるのだが、このシーンの前評判が高かった。兵士が妖精たちに魅惑されていくさまを描く。アルミーダの魔術で自分を失うリナルドと重ね、夢と現実、幻想と悪夢、二つの間をさまよう様子をバレエで表現する。とてもよかった。

演出はMary Zimmerman。Met3作目なのだが、数年前の「ランメルモールのルチア」はとても良く、次の「夢遊病の女」では斬新な演出をして私的にはピンとこないものであった。「アルミーダ」はどうだったかというと、よくもなく悪くもなく、So-Soであった。ストーリーの軸となっている現実と幻想をファンタジーっぽく演出しているのだが、斬新さとかに欠け、すごい!という感じではなかった。

衣装はよかった。特に2幕目の地獄の王子とデーモンたちの衣装はバッドマンのキャット・ウーマンのような衣装が面白かったのと、バレエの衣装もとてもよかった。バレエでは、男性はトルコのダービッシュを思い出させるような衣装で、女性はイスラムっぽい衣装。ルネ・フレミングのドレスも素敵だった。

Armida 2

また、ストーリーを通して出てくるサイレント・キャラクター(せりふのないキャラクター)が気に入った。”Love(愛)”と”Revenge(復讐)”のキャラクターだ。要所要所で彼女/彼が出てきてアルミーダの手助けをする。リナルドとの愛の日々は、所詮本心からの愛情ではなく、操作された愛情であった。長く続くはずはない。最後のシーンで、呪縛から解け現実に目覚めたリナルドは、本来の自分に戻り、アルミーダを置き去りにして戦場へと赴く。自分よりも戦いに行くことをとったリナルドにアルミーダは怒る。

そこで”愛”と”復讐”のキャラクターが出てきてアルミーダの心の内を表現する。最後に勝ったのは”復讐”であった。

終わり方が、今のハリウッドだったら第二弾を予告するような終わり方だった。私は復讐を選んだアルミーダが、この後どうなったのか、とても気になる。

人は人を縛ることは出来ない。彼女はそこで本当の愛とは何かに気付くべきだった。だけど彼女は憎むことを選んだ。

Armida 4

観た後の率直な感想は、あまりにもいろいろ満載過ぎて、消化不良といった感じ。2回目に観たら、もっと落ち着いて見所を押さえて楽しめるのでは、と思う。

でもこういうオペラを上演するMetには本当に感謝。いいシーズンの終わりであった。

<感想番外編>
アルミーダはとても感情的なキャラクターなのだが、ルネ・フレミングだとどうしても高貴な女王になってしまう。マリア・カラスだったらすごいことになっていただろうなぁ、と思った。彼女のセダクション、そして男に懇願するシーン。背筋がぞっとするような舞台だったのでは?

調べたら、マリア・カラスのレコーディングがあるようだ。いつか聴いてみたいと思う。

でもこれは舞台で是非観てみたかった。。。

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オペラ La Traviata(椿姫)

火曜日の夜、Metのオペラを観に行った。演目は”La Traviata(椿姫)”。今更何故”La Traviata"かというと、今年でフランコ・ゼフィレッリのプロダクションが最後になるからだ。

来シーズンのメットでは、2005年のザルツブルグ音楽祭でアンナ・ネトレブコとロランド・ヴィリャソンが競演したのと同じウィリー・ディカーのプロダクションに変わる。このプロモーショナルDVDをもっているが、ゼフィレッリのプロダクションとは対照的で、がらんとした超シンプルなプロダクション。しかし今からすでにブーイングの声が...

来シーズンのメットの演目のアナウンスがあった後、やっぱりもう一回ゼフィレッリのLa Traviataを観ておこうと思った。が、さすがニューヨーカー。考えることは同じであった。そして私はチケットを買うのに出遅れた。沢山あったはずのファミリー・サークルのチケット(安い席)は全て売り切れ。泣く泣く取れる席で一番安いGrand TierのBox席を買った。普段はこんな席に座らないので、今回はそれも楽しみだった。

Box席なので、端が見えないところがあるが、ステージに近いので、歌手の表情がオペラグラスなしでも良く見える!さらにピットにいる指揮者も良く見えるので、2倍に楽しかった。やっぱり上の方の席で観るのとは随分と違うのね...

ところで今シーズンのLa Traviata、シーズン初演でつまずいた。今回の指揮者であったLeonard Slatkinが1回目で降板になったのだ。なんでもさんざんな出来だったらしい。

だからPlaybill(パンプレット)に不吉な白紙が挟まっていても指揮者の変更が書かれているのだろうと見もしなかった。この白い紙が挟まっている時は、キャストの変更の知らせがある時なのだ。

幕が上がってオペラが始まると、ヴィオレッタ(ソプラノ、主役)のAngela Gheorghiuが見えない。代わりにHei-Kyung Hongさんがステージで歌い始めた。彼女は韓国人のオペラ歌手で、今ではMetの中堅だ。そう、主演であるAngela Gheorghiuは病気のため出演していなかったのだ。

今年の目玉、新プロダクションのカルメンも彼女が歌うと大々的にMetが打ち出していたのに、彼女は全てをキャンセルした。それもサブスクライバーが、一般チケット販売になる前にチケットを購入した後に。私は彼女のカルメンとOlga Borodinaで聴き比べをしようと思って2つもチケットを買っていたのに、結局両方観られなかった。(Olga Borodinaも病気か何かで間際にキャンセルした)

そしてまたこれ。少なくとも彼女はTraviataではシーズン初めの2回は歌っていたはず。何故この日にキャンなの?全くなんなんだ。

しかし今回のメインはゼフィレッリの舞台だと気を取り直し、オペラに集中することに。

久々に観るゼフィレッリのこの舞台はやはり超豪華であった。2幕目1場のパリの郊外のシーンと2場のサロンのシーンでは、幕が上がるとあろうことか(しかしMetではよくあるのだが(笑))セットに盛大な拍手があがるほど。確かに美しい舞台だ。パリの郊外のシーンでは、フランスのやわらかな陽射しが窓から差し込んでくる手の込んだ造り。

Traviata2.jpg
(写真はAngela GheorghiuとThomas Hampton)

サロンのシーンはベルサイユ宮殿の鏡の間を彷彿とさせるような豪華絢爛、きらびやかなセット。この豪華すぎるセットに対し、派手すぎるという批判もあったが、これで見納めかと思うとちょっと寂しい。

さて、肝心の歌手だが、しばらく見ないうちにHongさんは随分と上手くなっていた。そして綺麗になっていた。前は準主役や脇役でよく観たが、タイトル・ロールをしっかりと演じていた。彼女の声はクリアで澄んだ声だ。高音がちょっと不安定なところもあったがなかなかだった。もちろんマリア・カラスで聴きなれているので、耳がいろいろとキャッチしてしまうが、彼女のようなシーンによる声の使い分けや歌い方は誰にも期待はしてはいけない。

お父さん役のThomas Hamptonはさすがだった。このお父さんに息子と別れてくれ、なんて泣きつかれたら、誰でもNoとは言えないだろう。貫禄があり、感情豊かに歌っていた。

そしてAlfredo役のJames Valenti。Metデビューだが、長身でハンサム。オリンピックのフィギアスケート金メダリスト、エバン・ライサチェックと俳優のマシュー・マコノヒーを足して2で割ったような感じ。とくに3幕目になって調子がでてきたのか、声に艶と伸びがでて、すごくいい声だった。Juan Diego Florezに次ぐ、Metの人気テノールになるかも。余談だが、彼はNJ出身だ。

Traviata1.jpg
(Angela GheorghiuとJames Valenti)

ということで、ゼフィレッリ最後のLa Traviataの舞台を満喫した。Verdiの音楽って本当にドラマティックで素晴らしい。

さあ、来年のLa Traviataはどうなることやら。

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鼻が街を歩いている?! メットの「The Nose(鼻)」

メトロポリタン・オペラで今シーズン話題になっている「The Nose(鼻)」を観に行った。

この作品はドミトリー・ショスタコーヴィッチが作曲したオペラで、1930年、なんと彼が22歳の時に作曲したものだ。

何故このオペラが話題になっているのか?

メット初演、ということもあるけれど、カフカの「変身」を髣髴させるようなストーリーとショスタコーヴッチの作曲するオペラがとても奇抜な響きに満ちていることもあるけれど、それに加えて南アフリカ出身のウィリアム・ケントリッジがプロダクションを担当する、ということで話題をよんでいた。

<ストーリー>
床屋のイヴァン・ヤコヴレヴィッチがコヴァリョフ少佐の鼻をそり落としてしまう。奇妙なことに、そり落とした鼻が、奥さんが焼いたパンの中から見つかり、それが発覚した。イヴァンは鼻を処分しようとする。ようやく川に捨てたところで警官に咎められ、逮捕される。

鼻をそり落とされたコヴァリョフ少佐は、翌朝自分の鼻がないことに気付く。鼻を探し回ると、大聖堂で鼻が見つかる。なんと鼻は人間の大きさになっていた。せっかく見つかった鼻だが、ちょっと気をそらした隙に見失ってしまう。コヴァリョフ少佐は、広告を出してもらおうと新聞社に行く。しかし鼻の捜索の広告なんて新聞の格を落とすと相手にしてもらえない。

鼻が街をうろついているという話が広がる。人々は鼻を一目見ようと街に繰り出す。警官隊まで出動する。そして鼻は警官の周囲網にはまり、叩かれて元の大きさに戻る。

警官がコヴァリョフ少佐のもとへ鼻を届ける。コヴァリョフ少佐は鼻を自分の顔にくっつけようとするが、くっつかない。
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医者を呼ぶが、医者も鼻をもとに戻すことができない。コヴァリョフ少佐は誰かに呪いをかけられたのではないかと疑い、思い当たる夫人に手紙を書く。しかし彼女ではないことがわかる。

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ある朝、コヴァリョフ少佐が目覚めると、鼻が元通りに戻っていた。。。皆はなんだったんだろう、と首をかしげる。


音楽もとても奇抜な響きでとても興味深かったし、指揮がロシアのゲルギエフだけあって素晴らしかった。しかし今回のオペラは、なんと言ってもウィリアム・ケントリッジの手がけたプロダクションがキーであった。本当に面白かった!

ウィリアム・ケントリッジはアニメーション、と言っても「動くドローイング」、と言ったほうがしっくりとくる作品が有名だ。黒を基調にして描いたドローイングを、部分的に描きなおしながら一こま一こま撮影しフィルムにする、アナログな作品を制作する。

なんとオペラの舞台に、このアナログなアニメーションフィルムを挿入して、効果的に演出しているのだ。舞台のバックグランドは、彼のコラーシュが使われており、そこがスクリーンとなり、フィルムが所々で流れる。そのフィルムの使い方がとても的を得ている。というか音楽とマッチしており、音楽をよりいっそう盛り上げる。(The Nose トレーラー)

この舞台について、エレメントがありすぎて音楽に集中できない、という意見もあるが、この試みは、おおむね好評のようだ。

私にとっては、オペラの舞台に白黒のアナログフィルムをどうやって使うのか?というのが疑問だったが、観て本当に斬新に感じた。場面によっては、ディズニーのファンテージァの白黒バージョンを観ているみたいな感じがした。ああ、この音をアニメーションにするとこういう場面になるのね、と。

舞台の使い方も面白く、久々に斬新なものを観た、って感じ。いやぁ、本当に面白かった!

でも近代のオペラで、こういう実際にありえないようなストーリーだからこそ出来るのであって、じゃあ、どんなオペラだったらこういう舞台もありかな~、と考えた。間違ってもベルカントのオペラや、ヴェルディのオペラとかは無理だろうな~、なんて考えたけれど、ふと、モーツァルトの「魔笛」だったらありえるかも、と思った。

ところがなんと、ケントリッジは「魔笛」の舞台を手がけているという。ちょっとダークな「魔笛」。今まで知っている「魔笛」と違った側面が発見できそうで、面白そう。是非観てみたいものだ。

保守的なメットもこういうオペラに挑戦するようになるなんて、素敵なことだ。ますますオペラの幅が広がるようで、ニューヨークのオペラ・ファンにはたまらない。

昨日の夜はウキウキした気分で帰路についたのであった。

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113年ぶりの上演 メットのオペラ「ハムレット」

メットのオペラ「ハムレット」のシーズン初演に行ってきた。

「ハムレット」はメットで1884年に初演され、1897年を最後にずっと演奏されていなかった。100年以上の時を経ての再演、ということで楽しみにしていた。それもソプラノがナタリー・デセイ。去年の「ランメルモールのルチア」の狂乱の場でも彼女はすごい見せ場を歌い上げたが、「ハムレット」の狂乱の場はルチアでの狂乱の場よりもすごい、という前評判で、ワクワクしていた。

ところが今月の初め、体調不調のため、ナタリー・デセイが役を降りた。今期で「ハムレット」のオフェーリアを歌うのは最後にする、とデセイが言っていたため、2回観に行こうかと考えていた矢先のことであった。期待が大きかっただけにとても残念だった。

最近のメットはマーケティング力が強くなり、オペラファンの心を上手に操っている。オペラの宣伝の仕方も心得ていて、例えばハムレットなら”100年ぶりの上演” ”デセイの狂乱の場”が売り文句だった。それでチケットを売りつくしていたのだろうが、メインの歌手が出ないとなるとそれを期待していたファンは本当にがっかりだった。今シーズンは新プロダクション「カルメン」でも同様なことが起こった。出演者を売りにしているのに、キャストが変わってもチケットをリファンドすることができない。これは消費者の立場としてはちょっと不本意である...

さて、この「ハムレット」はどうだったかというと...

Metで上演されてよかった!

ハムレット役のサイモン・キーンリサイドがとても良かった!父王の死に疑問を持ち、苦悩するハムレットを素晴らしく表現していた。彼のはまり役である。
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オフェーリアのMarlis Petersenは彼女の勇気に拍手。ナタリー・デセイが役を降りた後、急遽この役を引き受けたのだが、ドレスリハーサルのあった12日(金)にはベネチアでパフォーマンスをしていたために参加できなかった。メットはコーチを送り、個別に彼女と役作りをしたそうだ。ニューヨーク入りしたのは翌日の土曜日。その後30時間に渡るリハーサル、コスチュームフィッティング、ピアノによるステージリハーサルと1回の短縮版のオーケストラリハーサルで16日(水)の本番を迎えたとのことだ。
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オフェーリアの役を演れる人は少ないはずだ。メットでも100年以上ぶりの再演である。しかもオフェーリア役が大変なのは、4幕目の狂乱の場のため。この幕はオフェーリアだけの幕なのだ。ハムレットに見捨てられたオフェーリアは、夢を見ているように幸せだった頃を回想し、それからふと現実に起こったことを思い出し、発狂していく。ここでドラマを盛り上げないと、最後の幕につながらない重要なシーンだ。ある意味、観客はこのシーンを観たさにこのオペラを観に行く。歌も本当に難しく、大変な見せ場である。こんなシーンがあるオペラを引き受けた彼女は本当にすごい。彼女の可憐で魅力的な声は、オフェーリア役にぴったりであった。彼女が引き受けたから今夜の舞台はあったと思う。

だだ、ナタリー・デセイの場合、彼女のパワーで彼女の見せ場のシーンは最初から観客を彼女に引き寄せる。物凄い吸引力がある。それが観れなかったのはやはりちょっと残念だ。

その他のキャストもよかったが、クラウディウス役のジェームス・モリス(バリトン)はちょっとがっかり。以前は彼が出ると主役を食ってしまうほどの存在感があったのだが(「トスカ」など、トスカでなくカバラドッシのストーリーになってしまうほど)、そのパワーが翳っていた。

オフェーリアのお兄さん役のトビー・スペンスはメットデビューであったが、とてもよかった。これからに期待する。

セットは1996年にジュネーブでデビューし、イギリスとバルセロナで使われたものをメットに持ってきたそうだ。シンプルでよく計算されて作られた舞台であった。

ところでこのオペラ、2つのバージョンがあるそうだ。一つは最後のシーンでハムレットが父王を殺し王座についたクラウディウスを殺し、自分が王座に着くシーンでおわるハッピー・バージョン。これはオリジナルでフランスでの初演で発表されたもの。もう一つがハムレットがクラウディウスを殺し、自分も自害するアンハッピー・バージョン。こちらはイギリスのコペントガーデンで上演する時に、ハッピーバージョンではイギリスでは受け入れられないだろうと書きかえられたもの。メットはこの二つのバージョンを合併し、終わりはアンハッピー・バージョンのものにした。シェークスピアがハッピーでは終われない、といったところか。
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それにしてもフランス・オペラは甘美である。シェークスピアの悲劇もフランス・オペラになるとメロドラマになる。悲劇の中にも優雅さがあるのだ。

新しいオペラとの出会い。今シーズンのメットはいろいろあるが、こういう新しいオペラと出会える機会をもたらしてくれることに本当に感謝する。

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メットの「ボエーム」

オペラシーズン只中。

「ボエーム(La Boheme)」を観に行った。このオペラも何度も観ているが、今回はアンナ・ネトラボコが演じるミミを観るために行った。

最近ヴェルディのオペラが続いていたせいか、プッチーニの音楽がとても新鮮に聞こえた。幕が開くやいなやはじまるプッチーニのメロディに酔いしれ、あ~、プッチーニの曲ってなんて美しいのだろう、とうっとりとした。

メトロポリタン・オペラ・ハウスのボエームは、フランコ・ゼフィレッリの豪華な舞台でとても有名だ。この舞台を観るだけでも、このオペラを観る価値があると思う。

オペラは、歌手、オーケストラ、指揮者、舞台、衣装、ストーリーなどが全て揃った総合芸術なので、観ていると本当に忙しい。だから初めて観に行くオぺラは大変だ。それに比べて知っているオペラだと、どこに見(聴き)逃してはいけない見所(聴き所)があるかもわかっているから安心していられる。その分、舞台や演技など他のところにまで目が行き届く。

今回のボエームもとてもよかった。ネトラボコのミミは素晴らしかった。ロドルフォと初めて出会う初々しいミミから、幸せの絶頂、別れ、そして永遠の別れへと、ちゃんとキャラクターが出ていた。唯一残念なのは、彼女は出産してからちょっと太めになってしまったこと。声はもちろんだが、美貌と美しいスタイルでオペラファンを魅了していたネトラボコの舞台は本当に新鮮だった。今までは、かなり太めのソプラノが可憐な少女の役を演じていたりすると、自分の想像力を駆使して舞台を観ていたものだが、彼女がそういった役をやると本当にはまり役で、想像力を駆使しなくてもそのまま舞台を楽しめた。また軽やかに舞台を駆け巡ったりするので、音が走る音をサポートしていたり、跳ねる音を出していたんだ、なんていうことを発見したりすることもあった。(シーンとした静けさの中、太ったソプラノが歩いた時に床のきしむ音が聞こえて、ぷぷっ、と聴衆から笑いがあがったこともある)

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その他の歌い手も皆適役で、上手くケメストリーがあっていた。最初から最期まで本当に楽しめた。

でも今回改めて思ったのは、ゼフィレッリの舞台の素晴らしさだ。本当にこの舞台はよく出来ていると思う。1幕目のパリの屋根裏部屋は、ちゃんと屋根裏部屋に作られている。2幕目は、幕が上がると必ず舞台に拍手がなる。それほどの豪華な舞台。人が溢れ、活気に満ちたパリの街並みが素晴らしい。物売り、子供連れの家族、恋人たち、ありとあらゆる人たちが舞台にあがる。まるで19世紀のパリにタイムスリップをしたかのようだ。一転して3幕目は雪がしんしんと降る居酒屋前。そして最後の4幕目は、また屋根裏部屋。

ゼフィレッリの豪華かつ大胆で、本物をそのままステージに再現させてしまうようなテクニックが、この舞台では本当によくでていて、全てが計算されつくされて出来ている。こんなゼフィレッリの素晴らしい舞台を生で何度も観れることは何と幸福なことだろうとつくづく思う。このゼフィレッリの舞台がお目見えしたのは1981年のこと。このうるさいNYで29年も同じ舞台が続いているのはすごいことだ。

ところで、来シーズンのオペラのサブスクリプションの案内がメットから来た。今シーズンはメットのレパートリーからゼフィレッリの「トスカ」と「カルメン」が消えたが、来年は「椿姫(La Traviata)」がなくなる。来年のメットのアナウンスについてNY Timesの見出しにも”メット ゼフィレッリが減り、チケットが値上げ”と出ていた。(ゼフィレッリの「トスカ」がなくなってしまったのは、未だに本当に残念だ。)なんだか時代が代わるみたいでちょっと寂しい気持ちもする。

ボエームを観に行った時、隣に座っていた女性と話をした。「来年はゼフィレッリの椿姫が新しくなるのよね」という話題になった。彼女はすかさず「だから今日、椿姫のチケットを買っちゃったわ」と言った。私も同じことを考えていたけど、先を越されてしまった。。やっぱり私もゼフィレッリの椿姫の見納めをしよう、と心に誓った。

という訳で、まだまだ私のオペラ・シーズンは続くのであった。

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マンハッタンを眺めながら、ニューヨークの出来事、映画、音楽、おいしいもの、旅の話などを徒然と綴ります。

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