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映画 「セルマ」

アリゾナの旅の話が予想外に長くなっちゃったので、ちょっと息抜きに違う話題を書きたいなぁ、という衝動にかられ、2月22日に迫っているオスカーまでに、映画ネタもちょっと書いていこうかと思います。

アカデミー賞ノミネート作品も、かなり見ました。

その中から、私的に気に入った作品を紹介していきます。

まず第一弾は「セルマ」。
selma 5

この作品は、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアを中心に起こった、公民権運動を描いた映画です。

えっ? ”マーティン・ルーサー・キング・ジュニア”って誰? ”公民権運動”って何?” っていう人のためにざくっと説明すると。。。

ことの発端は1955年。

アラバマ州モンゴメリーに住むローザ・パークスという女性が仕事帰りにバスに乗りました。彼女は空席に座ったのですが、次の停留所で乗り込んだ白人の男性は空席がないため立つことになりました。そこでバスの運転手は彼女に席を空けるように言いますが、彼女は譲りませんでした。そのため、彼女は駆けつけた警察に逮捕されました。(当時は白人の人に席を譲ることが暗黙の了解となっていたのですね)

彼女は人種関係改善をめざすNAACP(全国黒人向上協会)の支部の書記をしていたため、この話は瞬く間に黒人社会に広がります。

当時は白人と黒人の生活を分離することは合法的に認められていて、学校や裁判所、レストラン教会などは人種別に分かれていたし、列車は車両別、バスは黒人が後方に座ることが常識になっていました。

(私が80年代半ばにアメリカに来た頃、南部の田舎のレストランで、”Colord(有色人種用)”と書かれた看板がそのまま残っているのを見たことがあります。)

が、黒人の指導者たちは不当な差別撤廃を叫び、1954年の最高裁判では公立学校の分離教育を憲法違反とする判決が出たりと、時代の流れが変わりつつあるときに起きたのがこの事件でした。

そんなことが起こったアラバマ州の教会へ、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが赴任したのは1954年のこと。

彼はジョージア州アトランタ生まれ。飛び級でモアハウス・カレッジをを最優秀の成績で卒業後、奨学金でペンシルベニア州のクローザー神学校で学び、ボストン大学神学部で博士号を取得します。

すばらしい成績を上げ続けていたため、大学や教会からオファーがたくさんあったものの、南部が自分を必要としていると感じ、アラバマの教会に赴任しました。

そこでこの事件が起こり、キング牧師は差別撤廃運動として、アラバマ州庁舎の前にある教会に集まり、バス・ボイコット運動をはじめます。

一年にわたる運動の結果、連邦最高裁からバス会社に対しバスの人種隔離禁止令が出され、バス・ボイコット運動は勝利をおさめます。

しかし、これは差別撤廃のほんの一角であり、まだまだ深い差別は続いていました。

”公民権運動”とは、1950年代後半から活発となった、アメリカの黒人の基本的人権を要求する運動のことで、映画”セルマ”は、1965年に起きた実話をもとにしたストーリです。


...と前置きが長くなりましたが、ここから映画のあらすじにはいります。 (前置き長すぎっ)

キング牧師を先頭に行われた活動の結果、1964年に公民権法(Civil Rights Act)が制定され、キング牧師は公民権運動に対する貢献が評価され、ノーベル平和賞を受賞する。

ところが法律上は黒人の人権を守ることを唱えているものの、現実には人々の生活にその法律が浸透するにはまだまだの状態であった。

そして憲法により黒人の選挙権は認められていたものの、実際は地域の投票所に選挙をするための登録することすらできない状態であった。

1965年アラバマ州セルマ。

キング牧師を中心とする活動家グループは、選挙権の平等を求めて、セルマからモンゴメリーまでの平和的デモを行う。
selma 6

が、警察や州兵は、無抵抗の人々に暴力や催涙ガスを噴射。

この時、時代はテレビの時代に突入し、平和的デモを行う一般市民に対し激しい暴力を振るう姿がテレビで放映されることで、アメリカ国内で、黒人のみならず白人の中でも、黒人の不当な扱われ方や選挙権に疑問を持ち、彼らの活動に賛同し、参加する人たちが現れはじめる。


前出にも書きましたが、私が渡米したのは80年代半ばのこと。

しかも最初に住んだのは南部でした。

ここで黒人の友達もできました。

当時の私は黒人の問題など全く無知で、彼女たちから公民権運動のこと、マーティン・ルーサー・キングの話を聞き、このような過去があったことを知りました。

ほぼ単一民族である日本から来たばかりの私にとって、この話は衝撃的でした。

自分の国に住んでいながら、同じ国民に肌の色で差別をうけ、同じ権利を持つことが出来ないで暮らすなんて、どういう気持ちなんだろう。

もし私がアメリカで不当に扱われても、私には私を守ってくれる国がある。でも、自分の国が自分を守ってくれなかったら、彼らはどこに気持ちを持って行ったらいいのだろう。

そんなことを考えたことを思い出しました。

デモの参加者に対し、逃げ惑う人たちを棍棒で激しく殴打したり、レストランに逃げ込んだ少年にピストルを向ける警察たち。

その描写は生々しく、胸をしめつけます。

しかも後半、黒人に賛同した白人たちがデモに参加すると、その白人までもが憎悪の対象となり、暴力を受けるはめになる。。。

キング牧師はあくまでも非暴力で訴えようという姿勢を貫きますが、時には自分の家族を犠牲にし、また不本意にも犠牲者が出たりで、彼の苦悩も同時に描かれています。
Selma 1

これはほんの50年ほど前の実話です。

去年もファーガソン事件などがあり、未だにアフリカ系アメリカ人に対する差別はなくなってはいません。

でも、確実に50年前に比べると状況は変化していて、これらの先人の努力のおかげで今があるのだと思います。

また映画を通して思ったのは、非暴力の訴えは実はものすごいパワーを持っているのではないか、ということ。

インドでイギリスからの独立運動を指揮したガンジーも非暴力に訴えインドを独立に導いたし、これらの歴史が、武器や銃に対し同じように武器で戦わずとも、我々の意志と行動で、平和に導くことが出来ることを証明しているように感じました。

もちろんそれは決して楽な道ではなく、犠牲ももちろん伴いますが、少なくとも壊滅的な破壊は避けられ、憎しみが憎しみを呼ぶ連鎖を断ち切り、平和への道を歩む近道が、じつは非暴力による訴えではないか、と感じました。

この映画はアメリカの学校で無料で放映されたり、地域で無料上映会が開かれていたりするそうです。

それにしても、今ふと思ったのだけど、ガンジーにしてもマーティン・ルーサー・キングにしても、非暴力で平和を訴える人たちは、なぜ暗殺されるのか? 平和と愛を平等を訴える、といったらジョン・レノンもしかり。

やっぱり愛の波動は大きく人を包み込み、人の心に共振して広く広がるので、それを恐れた人が動くからなんでしょうか。

でも私たちは彼らが導いた道を忘れないし、彼らがしたことは語り継がれていきます。そして今私たちができることは、彼らが導いた道をさらに進んで歩み、平和な世の中をつくることなんでしょうね。

ところでこの映画の監督のエイバ・デュバーネイは黒人女性。調べたらまだ42歳と若手の監督なんですね。残念ながらオスカーの監督賞にはノミネートされていませんが、これからがとても楽しみな監督です。

この映画は資金難で一時は制作を断念したそうですが、オプラ・ウィンフリーがプロデューサーとして参加し(彼女は映画にも出演しています)、ブラッド・ピットが所有する制作会社も制作に参加しています。

そうそう、映画のエンドロールに出てくるJohn Legend and Commonの歌”Glory”がまたパワフルな歌でした。私がこの映画を見た時は、終わりこの歌が流れても、誰一人映画館を去る人がいなく、皆じっとこの歌に耳を傾けていました。

私は、と言えば、この映画の後込み上げてくる感情で体が動かず、この歌を噛みしめながら聞いていました。

Glory  (歌詞はこちら

最後に、キング牧師が行った有名な演説”I have a dream”を記載します。

「私には夢があります。

いつの日か、この国が立ち上がり”すべての人は平等につくられたことを、われわれが当然の真理と考える”という信条の真の意味に生きるようになる夢が。

私には夢があります。

いつの日かジョージアの赤い土の丘の上で、昔の奴隷の息子たちと、昔の奴隷主の息子たちが、一緒に兄弟として同じテーブルに座ることができるような夢が。

私には夢があります。

いつの日か私の幼い4人の子供たちが、皮膚の色によってではなく、どんな内容の人間かということによって評価される国になる夢が。」


******************************

*ホピの話を書くのが疲れたので、かる~く映画の話でも、なんて思ったのが甘かった。ってか、「セルマ」を題材にしたら軽く終わる訳がない。次回はもうちょっと軽い話題にしようっと。

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