2015.07.26(日)
宮沢りえさん「海辺のカフカ」
私のブログではおなじみ、毎夏の風物詩となっている「リンカーンセンター・フェスティバル」。
世界各国からダンス、演劇、オペラなど厳選された演目が一同に集まり、約3週間パフォーマンスを繰り広げられるフェスティバルですが、今年も観たいものがいくつかありました。
でっ、でも。。。
今年は忙しかったので、行けた演目はただ一つ。。。
でも発表があってから絶対に行く気満々でいたのが「海辺のカフカ(Kafka on the shore)」。
それは"蜷川幸雄"さんの舞台だったから!!
5年前、同じくリンカーンセンター・フェスティバルで蜷川さんの「ムサシ」を観て、その舞台にものすご~く感動したのだけれど、また蜷川さんの舞台が観られる!ということで、早々にチケットを買って、その日をとても楽しみにしていました。
また今回のキャストには宮沢りえさんや藤木直人さんも含まれ、それも楽しみのひとつでした。
さらに原作は村上春樹さん。
実は村上春樹さんの作品は数冊しか読んでいない私。観劇前に読んでおこうかな~、と思ったのですが、なんか今回は劇を観た後に読んだほうがいいような気がして、ざっくりとあらすじだけ読んで舞台を観に行きました。
で、舞台はどうだったかというと、ものすご~くよかったです。
できることなら何度も観たかった!
村上春樹さんの世界って、いろんなストーリーが絡み合い、現実と非現実の世界が曖昧で、どこからが現実でどこからが非現実の世界かわからなくなって、自分の内側をえぐりとられ目の前に突きつけられるようなセリフがあったりしても、非現実さからか、そんな鋭いシーン(言葉)でも、どこかオブラートに包まれたような感じであったり、本来ならグサッと来るようなシーン(言葉)でも、なんかサラリと受け入れることができたり心からスルリと通り抜けてしまったり、不思議な感覚を伴うのだけど、
今回の蜷川さんの舞台では、そんな村上春樹さんの世界が見事に舞台で表現されていました。
日本を代表する二人の大天才が作り上げた世界は、Amazingでした。(こんなチープな言葉しか出てこない。。。)
ストーリーは、
主人公のカフカは、15d歳の誕生日に父親と住む家をでる。
向かったところは四国で、そこにある甲村図書館で、司書を務める大島さんや佐伯さんと出会う。

東京に住むナカタさんは、猫と会話ができる不思議な老人。補助金と迷い猫の探索で生計を立てている。

この一見接点のないストーリーが、徐々に重なっていくのですが。。。
この舞台でまず特記したいのは舞台の演出。
様々な大きさの四角いアクリルケースの中に、カフカの部屋や、駅や、森や、トラックや、図書館があり、これらのアクリルケースが舞台の場面ごとにくるくる回り、舞台が展開していきます。

AL君なんかオープニングのあの音と喧噪と自動販売機で、"東京だ~"と思った!なんて言っていました。
そしてそのアクリルケースの中には、役者さんが入って登場したりもします。

宮沢りえさんがアクリルケースに入って出てくるシーンなんて、最初蝋人形かと思っちゃいました。。肌は白く陶器のようだし、こんなちっちゃいアクリルの中に納まるなんて、ホントにお人形みたい。
アクリルケースに入って出てきたた佐伯さん(宮沢りえ)も、ある意味象徴的なものなんでしょうね。
舞台では、それこそ"はっ"とするような言葉があちらこちらにちりばめられて、でもそれがサラリと語られ次のストーリーへと次から次へと移り進んでいきます。
まるで目の前にキラキラ光る形の違ったダイアモンドが次から次へと出されては消え、出されては消えていくかのよう。
だからあんまりセリフを覚えていられないのだけど、
カフカは家を出た理由を、
「そこにいると、自分があとに引き返せないくらい損なわれていくような気がした」
「自分があるべきでない姿に変えられてしまう」
といいました。
またナカタさんは、
「ナカタの役割はただ、今ここにあります現在、ものごとをあるべきかたちにもどすことであります」
「私たちはそろそろここを去らなくてはなりません」
といいました。
自分が自分であることを感じられなくなるギリギリのところで、自分の置かれている状況から飛び出したカフカ。
そして今ならまだ引き返して力強く生きていくことができる、と、生きることの選択を促されます。
そして、最後、カフカは佐伯さんに、こう言います。
「もし僕にそうする資格があるのなら、僕はあなたをゆるします」

あ~、もう切り口満載で、一度舞台を観ただけじゃ、なんと書いていいのかよくわかりません。
でも本当にセリフが生きていて、ドキッとする言葉が多く、またそれを語る役者さんたちがすばらしかったです。
役者さんといえば、宮沢りえさん、美しかったですが、それだけじゃなく、存在感があるのだけど、佐伯さんの繊細さと儚さが見事に表現されていました。宮沢りえさんってすごい役者さんだと認識しました。
カフカ役の古畑さんはこの役が舞台デビューらしいのですが、カフカという"少年のどこへ行くのかわからない感じ"、がマッチしていてはまり役のように感じられました。
藤木直人さんも、話が進むにつれ、なぜ彼がこの役に配役されたのか、なるほど!と思いました。
そして特筆したいのはナカタさん役の木場勝己さん。ナカタさんがあれほどストーリーをひっぱっていったのは、もうこの方がナカタさんを演じたからでしょう。たぶん原作を読んだら、あのナカタさんをそのまま思い浮かべるんだろうな、と思うほど、ナカタさんでした。
それから星野さん役の高橋さんも個人的には好きだったなあ。
とにかく役者さんが勢ぞろいでした!
うまくまとめられなかったけど、とっても楽しめました。
最後はスタンディングオベーション。キャスト全員がそろいBowを何度かした後、一番最後そでに戻るところで、宮沢りえさんと古畑さんが二人だけでそでのところでおじきをしたところ、"ヒュ~ッ"と誰かが口笛をならしました。それに反応して嬉しそうにニコッとされた宮沢りえさんの笑顔が印象的でした。
******************************
*ランキングに参加しています。ポチポチッと押していただくとモチベーションがあがります♪

にほんブログ村

世界各国からダンス、演劇、オペラなど厳選された演目が一同に集まり、約3週間パフォーマンスを繰り広げられるフェスティバルですが、今年も観たいものがいくつかありました。
でっ、でも。。。
今年は忙しかったので、行けた演目はただ一つ。。。
でも発表があってから絶対に行く気満々でいたのが「海辺のカフカ(Kafka on the shore)」。
それは"蜷川幸雄"さんの舞台だったから!!
5年前、同じくリンカーンセンター・フェスティバルで蜷川さんの「ムサシ」を観て、その舞台にものすご~く感動したのだけれど、また蜷川さんの舞台が観られる!ということで、早々にチケットを買って、その日をとても楽しみにしていました。
また今回のキャストには宮沢りえさんや藤木直人さんも含まれ、それも楽しみのひとつでした。
さらに原作は村上春樹さん。
実は村上春樹さんの作品は数冊しか読んでいない私。観劇前に読んでおこうかな~、と思ったのですが、なんか今回は劇を観た後に読んだほうがいいような気がして、ざっくりとあらすじだけ読んで舞台を観に行きました。
で、舞台はどうだったかというと、ものすご~くよかったです。
できることなら何度も観たかった!
村上春樹さんの世界って、いろんなストーリーが絡み合い、現実と非現実の世界が曖昧で、どこからが現実でどこからが非現実の世界かわからなくなって、自分の内側をえぐりとられ目の前に突きつけられるようなセリフがあったりしても、非現実さからか、そんな鋭いシーン(言葉)でも、どこかオブラートに包まれたような感じであったり、本来ならグサッと来るようなシーン(言葉)でも、なんかサラリと受け入れることができたり心からスルリと通り抜けてしまったり、不思議な感覚を伴うのだけど、
今回の蜷川さんの舞台では、そんな村上春樹さんの世界が見事に舞台で表現されていました。
日本を代表する二人の大天才が作り上げた世界は、Amazingでした。(こんなチープな言葉しか出てこない。。。)
ストーリーは、
主人公のカフカは、15d歳の誕生日に父親と住む家をでる。
向かったところは四国で、そこにある甲村図書館で、司書を務める大島さんや佐伯さんと出会う。

東京に住むナカタさんは、猫と会話ができる不思議な老人。補助金と迷い猫の探索で生計を立てている。

この一見接点のないストーリーが、徐々に重なっていくのですが。。。
この舞台でまず特記したいのは舞台の演出。
様々な大きさの四角いアクリルケースの中に、カフカの部屋や、駅や、森や、トラックや、図書館があり、これらのアクリルケースが舞台の場面ごとにくるくる回り、舞台が展開していきます。

AL君なんかオープニングのあの音と喧噪と自動販売機で、"東京だ~"と思った!なんて言っていました。
そしてそのアクリルケースの中には、役者さんが入って登場したりもします。

宮沢りえさんがアクリルケースに入って出てくるシーンなんて、最初蝋人形かと思っちゃいました。。肌は白く陶器のようだし、こんなちっちゃいアクリルの中に納まるなんて、ホントにお人形みたい。
アクリルケースに入って出てきたた佐伯さん(宮沢りえ)も、ある意味象徴的なものなんでしょうね。
舞台では、それこそ"はっ"とするような言葉があちらこちらにちりばめられて、でもそれがサラリと語られ次のストーリーへと次から次へと移り進んでいきます。
まるで目の前にキラキラ光る形の違ったダイアモンドが次から次へと出されては消え、出されては消えていくかのよう。
だからあんまりセリフを覚えていられないのだけど、
カフカは家を出た理由を、
「そこにいると、自分があとに引き返せないくらい損なわれていくような気がした」
「自分があるべきでない姿に変えられてしまう」
といいました。
またナカタさんは、
「ナカタの役割はただ、今ここにあります現在、ものごとをあるべきかたちにもどすことであります」
「私たちはそろそろここを去らなくてはなりません」
といいました。
自分が自分であることを感じられなくなるギリギリのところで、自分の置かれている状況から飛び出したカフカ。
そして今ならまだ引き返して力強く生きていくことができる、と、生きることの選択を促されます。
そして、最後、カフカは佐伯さんに、こう言います。
「もし僕にそうする資格があるのなら、僕はあなたをゆるします」

あ~、もう切り口満載で、一度舞台を観ただけじゃ、なんと書いていいのかよくわかりません。
でも本当にセリフが生きていて、ドキッとする言葉が多く、またそれを語る役者さんたちがすばらしかったです。
役者さんといえば、宮沢りえさん、美しかったですが、それだけじゃなく、存在感があるのだけど、佐伯さんの繊細さと儚さが見事に表現されていました。宮沢りえさんってすごい役者さんだと認識しました。
カフカ役の古畑さんはこの役が舞台デビューらしいのですが、カフカという"少年のどこへ行くのかわからない感じ"、がマッチしていてはまり役のように感じられました。
藤木直人さんも、話が進むにつれ、なぜ彼がこの役に配役されたのか、なるほど!と思いました。
そして特筆したいのはナカタさん役の木場勝己さん。ナカタさんがあれほどストーリーをひっぱっていったのは、もうこの方がナカタさんを演じたからでしょう。たぶん原作を読んだら、あのナカタさんをそのまま思い浮かべるんだろうな、と思うほど、ナカタさんでした。
それから星野さん役の高橋さんも個人的には好きだったなあ。
とにかく役者さんが勢ぞろいでした!
うまくまとめられなかったけど、とっても楽しめました。
最後はスタンディングオベーション。キャスト全員がそろいBowを何度かした後、一番最後そでに戻るところで、宮沢りえさんと古畑さんが二人だけでそでのところでおじきをしたところ、"ヒュ~ッ"と誰かが口笛をならしました。それに反応して嬉しそうにニコッとされた宮沢りえさんの笑顔が印象的でした。
******************************
*ランキングに参加しています。ポチポチッと押していただくとモチベーションがあがります♪

にほんブログ村

- 関連記事
-
- ミュージカル 「Allegiance(アリージャンス)」 (2015/11/28)
- 宮沢りえさん「海辺のカフカ」 (2015/07/26)
- 渡辺謙さんのミュージカル 「王様と私」 (2015/04/09)