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オペラ 「ジークフリート」

今月の初めに見た、ワーグナーの「ジークフリート」。

こともあろうか、もう11月も20日になってしまった。

感想を書くのをほっぽっていたつもりはないのだけれど、ズルズルしていたらこんなに時間が経ってしまった。このブログは自分の備忘録も兼ねている(っていうかそのためだったりして)ので、やっぱり「ジークフリート」は書き留めておかなきゃ。


ワーグナーの「ニーベルングの指環」のうち、先シーズンは序夜の「ラインの黄金」と第1夜の「ワルキューレ」が新プロダクションがお目見えした。

今年は、第2夜の「ジークフリート」と第3夜の「神々の黄昏」で、新プロダクションが完結する。

その「ジークフリート」の11月1日の公演を観てきた。


「ジークフリート」は、ワーグナーの妻コジマとの間に生まれた息子に”ジークフリート”と名づけているくらい、ワーグナーにとって思い入れのあるキャラクター。

ワーグナーは、最初「ニーベルングの指環」の4部作のうち、「ジークフリート」が人気を博するため、これだけ単独公演が頻繁に行われるのを危惧していたとか。心配はよそに、「ワルキューレ」が一番人気なのだけど、今回この音楽を聴いて、やっぱり「ジークフリート」が一番人気になるのは難しいよな~、と思ってしまった。

「ジークフリート」って、前半は全く女性の声が出てこない。第一幕80分、第二幕70分、第三幕80分のうち、第一幕は全く男性のみ。第二幕は、最後に姿はないけど小鳥の声がちょろっと出てくるのみ。それまでずっと男性の声だけなのだ。もともと小鳥の声も、ワーグナーはボーイソプラノを考えていた、というのだから、もしそうなったら、延々と男性のみの声だけを聴き通さなければならない。普通の人にとっては、ちょっと苦痛に感じるだろう。


でも、「ラインの黄金」「ワルキューレ」と聴いている我々にとって、やっぱり「ジークフリート」って、たまらない魅力でいっぱいだ。

「ラインの黄金」「ワルキューレ」で出てきたキャラクターが勢ぞろいになるし、ということは、所どころに彼らの登場をほのめかすライトモチーフがちりばめられていて、アルベリーヒ、ファーフナー、エルーダ、ローゲと、それはもう、音を追っているだけで楽しい。とにかくライトモチーフを追っているだけで、わくわく、どきどきしてしまう。

夜6時半からはじまり、11時半までの公演だったが、アッという間に時が過ぎてしまった。


さてさて、このオペラの中心は、もちろん”ジークフリート”。「ワルキューレ」に出てきた、ジークムントとジークリンデの間に生まれた男の子がこのストーリーの主役である。

今シーズンのメトは、キャスティングの変更につぐ変更で大変だが、この「ジークフリート」も例外ではなかった。当初予定されていたベン・ヘップナーはこの役を卒業宣言をしたため、ギャリー・レーマンが(年があけてからはグールドのダブルキャストで)この役を演ることになっていた。

ところが、シーズンのブローシュアーが出来上がった後、レーマンがこの役を降りることに。

これはメトも泣きが入りますよね~。「ジークフリート」の”ジークフリート”って、本当に大変な役。1幕から出ずっぱりというだけでも大変なのに、3幕目に入って、眠りから目覚めたブリュンヒルデ(ソプラノ)との愛の歌を唄わなければならない。ずっと出番を待ち続けているソプラノは元気いっぱい。このシーンだけがんばればいいのだもの。彼女は通常声高らかに思いっきりうたう。対して3時間以上も歌い続けてヘトヘトのジークフリートは対等に二重唱を唄わなければいけない。これは辛い。

それだけではなく、「ジークフリート」は”ジークフリート”の成長の物語であるから、1幕から3幕にかけて、やんちゃ坊主であったり、母を恋しがったり、蛇を退治したり、初めて女性をみてドキドキしたり、と忙しい。それぞれのシーンに合わせた歌いっぷり、表現力が求められる。

こんな大役をこんな間際でのチェンジとは、痛い。

私がメトの劇場支配人なら、全てを投げ捨てて逃げ去りたい。そんな気持ちになるはずだ。

今シーズンは、そんなピンチをいろいろと乗り切ってきたメトだけど、巷では、メトも今回こそは運が尽きたと言われていた。前出の理由で、メトの新プロダクションを華々しく歌いきれるテノールが、そんなにいるわけもない。

そんな中、選ばれたのは、ジェイ・ハンター・モリス。
29SIEGFRIED 4

ちゃんとポスターも間に合っていました。


モリスのジークフリート、本当に大丈夫だろうか?と、世間では相当心配されていたようですが、個人的にはとても満足のいくパフォーマンスだった。

若々しくて、ちょっと荒削りなところが、ジークフリーとのキャラクターにぴったり。歌のテクニックとかいろいろと言ったらキリがないだろうけど、なんていうか、ちょっとこれから、っていう期待値なども含めて、彼の成長物語と重なり、とても新鮮で新しい風が吹いているかのようだった。
29SIEGFRIED 3

父ヴォータンとのからみも、ベテランのターフェルが歌う父と、若いモリスが歌う息子のコンビがとてもよく、観ていて感情が移入できる。
29SIEGFRIED-2.jpg

これだからオペラって、どう化けるかわからない。


キャラクターについて語っているので、他のキャラについていうと、「ラインの黄金」に引き続き、アルベリーヒ役のエリック・オーウェンズは、序夜に引き続き、素晴らしいアルベリーヒを演じていた。

ブリュンヒルデ役のデボラ・ボイトもブリュンヒルデにぴったり。


プロダクションについて言えば、去年から引き続き、ロベール・ルパージュのプロダクションで、これについては賛否両論なのだが、映像を使った場面はまことに美しかった。

水面を映した場面とかも美しかったが、小鳥が飛び交うシーンは、ディズニーのフィルムをみているかのように、小鳥がやけにリアルで、思わずうわ~って思ってしまった。

しかし確か3幕目だったと思うのだけど、あのプラクがガタンゴトンと、オーケストラの音がかき消されちゃう程、それはそれは大きな音を立てて動いたのには閉口した。

さらに、こともあろうか、私が行った日は、一番肝心の、待ちに待ったブリュンヒルデが舞台に登場するのに、ジークフリートがブリュンヒルデを見つけたことを延々と歌う彼の後ろを、炎に包まれて横たわっているはずのブリュンヒルデが舞台の脇からテクテクと歩いて舞台の中心まで行き、歌うジークフリートの脇によっこいしょと横たわって登場した。

???

えっ。今何が起こったの? わが目を疑った。

思わず観衆から笑いが出た。

このブリュンヒルデの登場はありえない。

なんで炎に包まれて眠りについているはずのブリュンヒルデが、夢遊病みたく歩いて舞台に出てくるのよおっっっっ???

たった今、目の前の舞台で起こったことが信じられなかった。

どうやら、あのプラクが上手く作動せず、この日はやむなくこんな恥ずかしい登場を余儀なくされたようだ。土曜日に同じ演目を見た友人は、ちゃんとプラクに乗っかって、優雅にブリュンヒルデが登場したとか。

そうだよな~。

どんなキャラでも、計算しつくして舞台に登場するのに、待って、待って、待って、やっと登場するブリュンヒルデの登場が、こんなお粗末だなんて、笑ってすまされるものではない。

いやあ、これは語り草になるくらい滑稽で、ホントーに残念であった。


それから、ファーフナーが変身した”大蛇”。

これは「ジークフリート」の舞台では、見所のひとつ。この大蛇が迫力に欠けていた。「ラインの黄金」の大蛇はそれなりに出来ていてよかったのに、「ジークフリート」の大蛇はただのデカイ蛇みたいで、目がやけにかわいい。しかも上から吊るしているんで、なんかフワフワしていて、迫力に欠ける。これも失笑。
29SIEGFRIED-popup.jpg


とはいうものの、やっぱりワーグナーはすごい。

あの長い時間が、あっという間過ぎてしまった。


ああ、最後の「神々の黄昏」が今からとても楽しみだ。


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