2012.03.16(金)
オペラ 「愛の妙薬」
METでドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」を観て来た。
なぜ今回「愛の妙薬」か、というと、大好きなJuan Diego Florezがネモリーノ役で出演するから。
彼がMETでネモリーノ役を歌うのは初めてだそうで、彼の歌うテノールの名曲中の名曲「ひそかな涙が」を生で聴けるなんて、去年シーズン・アナウンスメントがあった時から、ワクワクドキドキ、楽しみにしていた。
今回のMETは、レパートリーなのにほぼ満席。これは私のようなFlorez目当ての観客と、来年「愛の妙薬」のプロダクションが新しくなると発表されたばかりなので、このプロダクションを見納めしようというお客のためだろう。
1991年にデビューした今のプロダクションは、カラフルで子供向け番組のセットのような舞台。悪くはないんだけど、この舞台にはあまり未練はないかも。
さてさて、肝心のオペラですが...
期待以上でした!!!
まずはFlorezのネモリーノ。彼は歌って、演じることの出来るオペラ歌手である。ちょっと気弱で、でもアディーナのことを心から愛するネモリーノ。彼のイジイジしたところ、舞い上がりウキウキした気持ち、など、表情をクルクルと変え、歌い演じるFlorezはさすがだった。
全幕通じて、彼の伸びのよい、艶のある滑らかな声に魅せられた。彼の声、好きだなぁ。
待ちに待った「ひそかな涙で」は、この曲の音楽が鳴り出すや、聴衆が居住まいを正して、彼がこれから歌うアリアに集中しているのが空気で感じられた。
そして彼は期待を裏切りませんでした。
彼が歌い終わった後、拍手がなりやみませんでした。
あ~、もう一度この歌を聴きにMETに行きたい!
今回の舞台ではアディーナ役のDiana Damrauもとても良かった。彼女の奏でるコロラチューラは耳に心地よく響いた。
若いころは「愛の妙薬」のようなオペラ・ブッファはあまり好きではなかった私。どちらかというとドラマチックな話や悲劇の方がわかりやすいし、心を打たれたものだったが、最近は、また違った見方ができるようになってきた。
このオペラのヒロインとヒーローは地主と農夫という関係にある。階級格差のために、叶うはずのない恋に苦悩するヒーローと、若いころからチヤホヤされて育ったお嬢様のヒロインが、真の愛に目覚め、それによって人間的に深みのある女性に変化し、彼の愛を受け入れる。
実に豊かな人間性を描いたオペラ・ブッファなのだ。
それゆえ、ドニゼッティのオペラの中でも人気な作品なのだろう。
以前はドタバタの部分しか見えていなくて、どうもそのドタバタ部分の中で歌われる「ひそかな涙が」のしっとりとした哀愁を感じるフレーズが、ちょっとマッチしない違和感を感じていたものだが、こうやってキャラクター・ディベロプメントを考えていくと、とてもしっくりとする。
いやぁ、ただただ年を食っているだけじゃなく、”オペラ年齢”が上がるということは悪いことではないのかも、な~んて思ったのでした。
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なぜ今回「愛の妙薬」か、というと、大好きなJuan Diego Florezがネモリーノ役で出演するから。
彼がMETでネモリーノ役を歌うのは初めてだそうで、彼の歌うテノールの名曲中の名曲「ひそかな涙が」を生で聴けるなんて、去年シーズン・アナウンスメントがあった時から、ワクワクドキドキ、楽しみにしていた。
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1991年にデビューした今のプロダクションは、カラフルで子供向け番組のセットのような舞台。悪くはないんだけど、この舞台にはあまり未練はないかも。
さてさて、肝心のオペラですが...
期待以上でした!!!
まずはFlorezのネモリーノ。彼は歌って、演じることの出来るオペラ歌手である。ちょっと気弱で、でもアディーナのことを心から愛するネモリーノ。彼のイジイジしたところ、舞い上がりウキウキした気持ち、など、表情をクルクルと変え、歌い演じるFlorezはさすがだった。
全幕通じて、彼の伸びのよい、艶のある滑らかな声に魅せられた。彼の声、好きだなぁ。
待ちに待った「ひそかな涙で」は、この曲の音楽が鳴り出すや、聴衆が居住まいを正して、彼がこれから歌うアリアに集中しているのが空気で感じられた。
そして彼は期待を裏切りませんでした。
彼が歌い終わった後、拍手がなりやみませんでした。
あ~、もう一度この歌を聴きにMETに行きたい!
今回の舞台ではアディーナ役のDiana Damrauもとても良かった。彼女の奏でるコロラチューラは耳に心地よく響いた。
若いころは「愛の妙薬」のようなオペラ・ブッファはあまり好きではなかった私。どちらかというとドラマチックな話や悲劇の方がわかりやすいし、心を打たれたものだったが、最近は、また違った見方ができるようになってきた。
このオペラのヒロインとヒーローは地主と農夫という関係にある。階級格差のために、叶うはずのない恋に苦悩するヒーローと、若いころからチヤホヤされて育ったお嬢様のヒロインが、真の愛に目覚め、それによって人間的に深みのある女性に変化し、彼の愛を受け入れる。
実に豊かな人間性を描いたオペラ・ブッファなのだ。
それゆえ、ドニゼッティのオペラの中でも人気な作品なのだろう。
以前はドタバタの部分しか見えていなくて、どうもそのドタバタ部分の中で歌われる「ひそかな涙が」のしっとりとした哀愁を感じるフレーズが、ちょっとマッチしない違和感を感じていたものだが、こうやってキャラクター・ディベロプメントを考えていくと、とてもしっくりとする。
いやぁ、ただただ年を食っているだけじゃなく、”オペラ年齢”が上がるということは悪いことではないのかも、な~んて思ったのでした。
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