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メトロポリタン・オペラ「仮面舞踏会」

久々にオペラのお話です。

METのシーズンがはじまり、すでに何本か観ているんだけど、どうもオペラについて書こうとすると指が動かない...。ブログにアップするのが延ばし延ばしにしてしまっている今シーズン。

記憶が薄れないうちにアップしようと思う。(っていうか、早く書かないと書きたかったことを本当に忘れちゃう)

で、今日は一番最近に観たヴェルディの「仮面舞踏会」について。


仮面舞踏会は大好きなオペラの一つなのだが、本当に久々の観賞だった。

今年METで新しいプロダクションとなった「仮面舞踏会」。いったいどんな舞台だったのだろうか?

*****

「仮面舞踏会」はナポリ初演のために作曲されたオペラだが、検閲にかかりかなり台本を変えないと上演できないはめになった。なのでナポリでの初演はあきらめ、初演をローマに変更。ローマでの検閲はナポリに比べて軽く、舞台を18世紀スウェーデンから欧州以外の場所に変更すればよい、ということだった。なので設定は、アメリカのボストンに移され、オリジナルの題名”グスタブ3世”を”仮面舞踏会”と変更して初演された。 ...という舞台裏の話がある。

そして近年は、字句を元に戻し、ヴェルディのオリジナルの設定で上演されることが多くなっている。

今回のMETの新プロダクションもしかり。

David Alden演出の新プロダクションも、オリジナルのスウェーデンの設定にしている。だけど時代は20世紀初期の設定...。

ああ、プロダクションの話し最小限に書こう、と思っていたけど、筆が止まらないので続けると、この新しいプロダクションは、私的にはいただけなかった。

ピンポイントでキラリと光る場面はあるのだけど、全体的にどうも共感できなかった。

まず幕が上がる前、舞台に掛かる幕にはギリシャ神話”イカロス”の絵が描かれていた。

”イカロス”はロウで鳥の羽を固めて翼を作り空を飛んだが、高く飛びすぎて墜落してしまった...という話。

それを主人公のリッカルド、あっ、スウェーデン版ではグスタブ3世の生きざまと掛け合わせているんだけど、どうも私的にしっくりとこない。

舞台を通してイカロスの絵が何度も出てくるのだけど、極めつけはコレ。
Un Ballo 5

王の小姓オスカル役にこんな羽まで付けちゃっている。これがまた目に付いて、なんでわざわざオリジナルの設定だったスウェーデンに場所を持ってきたのに、時代を20世紀に持ってきて、しかもギリシャ神話のイカロスの話が重ならなきゃいけないのか。こんなのを流して観ればよかったのに、オスカルが羽をつけてちらつくたびに考えちゃって、正直言ってすごく目障りだった。

オスカル役のKathleen Kimは、とてもきれいな声音で歌っていたので(全く個人的な主観だが)彼女にとってはちょっとカワイそうな演出だった。


演出は私好みではなく、また観たいと思えない舞台だったけど、音楽的にはとてもすばらしかった。

Fabio Luisiの奏でるヴィエルディはイタリアっぽい音色で、うっとりとしてヴェルディの旋律を楽しんだ。

Un Ballo 6
グスタブ3世(リッカルド)役のMarcelo Alvarezでは、ともすると暴走したり、気品が欠けがちだと言われたりする彼が、高貴な王でありながら、人妻に恋をする情熱を秘めた役を実に上手く歌っていた。やっぱりイタリアオペラをラテン系の方が歌うと、パッションとか愛に生きる熱い心、をすらりと体現し(やっぱりラテン系の血なんだろうか)、ヴェルディの音楽と見事に重なる。

Un Ballo 1
アメーリア役のSandra Radvanovskyもすばらしかった。愛に悲しみ苦悩するアメーリアの心の揺れ動きの表現力がすばらしく、彼女の歌声を聴いていると思いっきり感情移入してしまう。

それからアンカルストレーム伯爵(レナート)のDmitri Hvorostovsky。大ベテランの彼の歌うこの役は、心から忠誠を誓っていた王と妻が恋仲であることを知った怒り、絶望、苦悩を聴いているだけでも息苦しくさせてしまうような、すばらしい演技と歌であった。


舞台全体を観ているとどうも気が散らされちゃってよくないのだが、音楽はすばらしく、あ~、やっぱりこのオペラは好きだなぁ、と思わずにはいられなかった。

そう。オペラは沢山の切り口があるため、プロダクションがダメでも、オーケストラ、指揮者、歌手といろんな切り口で楽しめるのだ。それがオペラのすごいところ。

劇場をでると、外はヒンヤリとした冷たい空気だったが、熱いイタリアの旋律が耳にからみ付き、心はホカホカで帰路についたのであった。

やっぱりヴェルディのオペラは好きです!

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テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

コメント

ミカ

これは有名な演目ですが、今回の演出はピンと来ませんでした。
歌よりもどう演出するのかに興味があったんですが、
暗殺者二人いましたでしょ、軍服ともう一人はステッキ持って足が悪い貴族、以前見たのは奥方が落としたベールをステッキで持ち上げて、レナートの鼻先にヒラヒラさせながら「ハッハッハッ~」と歌ったんです、嘲りながら。

今回の演出はそれが無かったので、この元フットボール選手の歌手に持たせているステッキの役割はなんね~?とイラッとしたんでございます。

Re: ミカ

こんにちは~。

この演出、ご覧になられたのですね! 私もメトのニュープロダクションなので楽しみにしていたのですが、今回の演出はイマイチでした。

> 暗殺者二人いましたでしょ、軍服ともう一人はステッキ持って足が悪い貴族、以前見たのは奥方が落としたベールをステッキで持ち上げて、レナートの鼻先にヒラヒラさせながら「ハッハッハッ~」と歌ったんです、嘲りながら。
>
> 今回の演出はそれが無かったので、この元フットボール選手の歌手に持たせているステッキの役割はなんね~?とイラッとしたんでございます。

うわ~っ、細かいところをちゃんと観てらっしゃる。ぷぷっ。そういう所って気になりますよね~。

私もイカロスがこれでもか、これでもか、って執拗に出てくるので無駄なところに気をとられてしまい残念でした。

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まとめ【メトロポリタン・オペ】

久々にオペラのお話です。METのシーズンがはじまり、すでに何本か観ているんだけど、どうもオペラについて

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