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マンハッタンライフの心の矛盾-映画「Please Give」

昨日観に行った映画は「Please Give」。

Please Give

舞台はマンハッタン。脚本、監督がNicole Holofcener。「Sex and the City」などのTVドラマの監督を手がけた彼女がどんなマンハッタンのストーリーを描くのか、興味があった。


ケート(Catherine Keener)とアレックス(Oliver Platt)はマンハッタンでトレンディな中古の家具屋を経営している。

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目利きの彼女が仕入れる家具のほとんどの仕入先は、エステートセールだ。親が亡くなった後、遺品を片付ける子供たちの目には、長年使い込んだ古い家具は、引き取ってもらえなければ処分するしかない代物だと思っている。そんな人たちから彼女は売り物になりそうなものを安価で引き取り、それなりの値段を付けて販売している。

彼らには一人娘アビーがいる。彼女はニキビとぴったりと合うジーンズがなかなか見つからないのが悩みの種のティーンエイジャーだ。

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彼らは満足した生活レベルを維持しており、自分たちの隣のアパートも購入した。いづれは二つのアパートの壁をぶち壊し、広いアパートにリモデルしようと考えている。問題はただ一つ。元のオーナーの老夫人アンドラがまだそこに住んでいること。

アンドラには2人の孫娘がいる。レベッカとメアリーだ。

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レベッカはほとんど毎日アンドラのところへ通い、おばあさんの身の回りの世話をしている。たまにレベッカは隣のケートとアレックスと顔を合わせるが、距離を置いて接している。彼女から見ると、彼らはいつ彼女のおばあさんが亡くなるかを心待ちにしているように見えるからだ。

もう一人の孫娘、メアリーはアンドラの家には近寄らない。彼女の偏屈さが我慢ならないのだ。

見た目には幸福の条件がそろっているように見えるケートの心の中は複雑だ。快適なライフスタイルを保つために安価に仕入れた家具を高値で売る。それに罪の意識を感じるのだ。でも自分がやらなければ、他の人が自分と同じことをするだろう。この収入があるからこそ、今の生活が保てるのだ。ジレンマだ。

さらに老婦人アンドラに貸しているアパートを、いつか自宅とつなげて広々とした家に改装することを楽しみにしていることにもジレンマを感じている。アパートが自分たちのものになることは、アンドラの死を意味するからだ。

その罪意識から、アンドラの誕生日に、アンドラ、レベッカ、メアリーを食事に招待する。なんとも言えないきまりの悪い時間を過ごす。

この映画、ケートの気持ちがとてもよくわかる。快適な生活とライフスタイル、それに対する罪意識。

マンハッタンは、上を見るとキリがないほど富に溢れ、しかし下を見るとこちらもキリがない。高級店のすぐそばで、物乞いをしている人がいたいるする。エクストリームな街だ。

いつも自分の心を一定に保てたらいいのだが、なかなかそうはいかない。日によって、ううん、ぐるぐると心は揺れる。快適ライフをエンジョイしてたと思ったら、アッという間にそれに対して罪意識を感じる自分がいる。

自分の心をどこに置くかで、ものの見方も考え方も180度変わるのだが、周りのエクストリームな状況に、なかなか心を保つのが難しい。

彼女のキャラクターを見ていると、全く違った二つの考え方に翻弄されているのがよくわかる。そんな彼女が滑稽に見えた。

ケートほどナイーブでないにしても、彼女にとても共感が出来る私は、滑稽に見える彼女に、自分を重ねて苦笑した。

クセのあるキャラクターたちが織り成す人間模様 - 良心、罪意識、好意、悪意、愛情、友情、裏切りなどがユーモアと哀愁を持って表現されている映画だった。

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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

コメント

No title

Nicole Holofcener

この人、人の心理の観察眼がとても鋭い、というよりもやはり表現能力がずば抜けています。

人は大概同じような思いを感じているんですけど、それを真っ先に表現することが大変難しいですね。

世に問うたり、作品として発表する以前に、日常的なコミュニケーションとしてすら、ままならない時があります。

自分はこう思っているの。こんなこと感じているの。こうしてほしいの。なんて端的に表現したいものです。

表現できても、やっぱり映画のような状況であからさまにできない時も確かにあります。それを上手く解決するには、今度は表現手法jという技術的問題になってきますね。思惑と現実、良心と利益、...。
人の心って複雑ですネ。

または、もっと違うことを..........。
これも観ますよん。

hih

Re: No title

わ~っ、Demeeさん、Nicole Holofcenerをご存知なんですね。

Demeeさんのおっしゃる通り、彼女は人の心理の観察眼がとても鋭く、その表現力に長けている人だと思います。

私なんて、この映画を観て、心の中で今までモヤモヤっと感じていたことを、あ~、こういうことを私は感じていたんだって、教えてもらったような気がします。自分のことなのに、自分が感じていたこと、思っていたことを人から教わった、そんな感じです。

自分の気持ちもよくわからないので、ましてそれを表現するのはもっと難しい。まずは自分が何を思って感じているか対峙して、それから表現をどうするか、なんでしょうね。

>自分はこう思っているの。こんなこと感じているの。こうしてほしいの。なんて端的に表現したいものです。

全く同感です。

彼女のすごいところは、例えばこの映画なら、二つの矛盾した心で思い悩む主人公を、そのまま否定も肯定もせずに映し出し、ユーモアと愛情を持って表現していること。こういう矛盾を持った彼女を笑っちゃう。確かに外から見ているとおかしいんですよね。そういうのが良かったです。

この映画を観て、思い悩むことは悪いことではないけれど、与えられた情況に感謝をしてエンジョイする。そして自分にできることをすればいいんだよね、って思いました。

>思惑と現実、良心と利益、...。人の心って複雑ですネ。

本当にそうです。でもこの両極端から学んで自分で折り合いをつけながら成長していくんでしょうね。

それにしてもDemeeさん、こういう会話が出来ることが私は嬉しいです。
コメント、ありがとうございました。

No title

だって、「Sex and the City」で彼女の手腕は証明されてますよね。
あの成熟女性達の心の機微というか.........。
それを観て、監督というか制作をすぐに調べました。

キャンディス・ブシュネルの原作もいいですけど。やっぱり、こうゆうものは映像化され脚本化された方が、よりリアリティーが増しますよネ。そして彼女だからこそ、この原作を上手く表現できたんでしょうね。

この人の代弁術って凄いと感じましたよ。

この人が男性だったら、もっとステキだったんですけどねぇ~。
Demeeはそこら辺を目指そうと思ってます。って冗談です。

ある人は、そんなの男性が観る映画じゃないでしょう!って私に言うですよ。でも違うんですネ~。

男とか女とかじゃなくて、人間ってそんなんなの、でもありうるよね~ってクスリとさせられます。まぁ、しいて言えば、現代版シェイクスピア劇みたいな感覚もあります。本音、ヒューモア、情念、etc.

それに、ほら成熟した女性心理の綾みたいなものもお勉強になるじゃないですか............。

私も嬉しいですよ。

hih

Re: No title

> それを観て、監督というか制作をすぐに調べました。
なるほど。ちゃんと気になる人はチェックされているんですね。

> この人の代弁術って凄いと感じましたよ。
本当に私もそう思います。共感できるからこそ皆彼女の作品に惹かれるんですよね。

> この人が男性だったら、もっとステキだったんですけどねぇ~。
う~む、女性だからこそ表現できる内容なのでは、と私は思うのですが、もしこういう表現の出来る男性がいたら、すごい、というかすごすぎ、だと思います。

> Demeeはそこら辺を目指そうと思ってます。って冗談です。
がんばってください!

>ある人は、そんなの男性が観る映画じゃないでしょう!って私に言うですよ。でも違うんですネ~。
そうです。女性だけがエンジョイできる映画じゃないと思います。こういう映画を共有できて、しかも語り合える男性は、女性から見るととてもポイントが高いです。

>まぁ、しいて言えば、現代版シェイクスピア劇みたいな感覚もあります。本音、ヒューモア、情念、etc.
これが現代版のプレイなんでしょうね。人間の基本的な部分は変わらないとしても、世の中がめまぐるしく変わっている中、「今」の私たちの真髄をユーモアを持って語ってくれているんでしょうね。
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マンハッタンを眺めながら、ニューヨークの出来事、映画、音楽、おいしいもの、旅の話などを徒然と綴ります。

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